4.3 ワークフローによる業務改善の具体例
文書情報マネジメント・システムにおけるワークフローの事例として、企業の物品購買管理システムを例に解説する。
ワークフローを導入する前の処理の流れ
- 物品の購入申請を行なう。
物品購買では、最初に購入申請者または依頼を受けた購買担当者が、発注先より購入品目の見積りを入手し、上長に対して購入を申請する。 - 上長の承認を得た申請書は、審査部門で審査承認が行なわれる。
申請を受けると、申請書、見積書、場合によっては発注先の企業情報などを元に、審査担当者が審査を行い、買い与信の確認や購買承認などを書類ベースで審査する。 - 購買担当部署で発注手続きが行なう。
購買担当者は、申請書、見積書、与信情報等のその他の情報をもとに、注文書を作成し、発注先に送付する。場合により、発注先から注文請書等の確認書類を入手することもある。 - 注文した物品が納品される。
納品された物品と納品書の確認を行い、受領書を発行する。発注先では、受領書をもとに請求書を発行する。申請書や注文書をファイルから抽出して納品書と見比べる場合もある。 -
支払処理を行なう。
請求書を受け取ると、申請書、見積書、発注書、注文請書、納品書を元に、物品が正しく納品されていることを確認し、支払処理を行ない、物品購入のビジネス・プロセスが完結する。
全てが紙の情報を元に処理されるため、案件ごとのファイリング、資料検索の方法、納期の管理などの事務作業が必要となる。又、案件処理完了後は監査に耐えられる状態で、全ての資料をファイルし、管理する必要がある。
これに対し、ドキュメント・マネジメント・システムを導入し、ワークフローによる管理を行なった場合は、イメージの活用とワークフロー機能により、速やかな処理が実現する。
- 見積書をスキャンし、PC上で作成した購入申請に添付して上長に申請する。
- 上長の承認が行なわれると、ワークフローにより申請書は審査担当者に回付される。 審査担当者は、発注先会社名から与信情報を入手し、殆どの場合自動与信で許可を与える。
- ワークフロー・システムは承認された申請から自動的に発注書を作成することができる。また、全ての必要情報は案件単位にシステム内で管理され、閲覧、検索が可能となる。
- 発注先に対し注文書を発行し、納期管理を行なう。システム内で管理された期間内に納品されない場合は、督促または納期確認指示を購買担当者に対し行なう。
- 物品が納品されると、注文番号を元に注文書と物品の確認を行ない、受領書を発行する。納品書はスキャナで入力され、イメージ管理される。
- 支払担当者は請求書を受領すると、正しく納品されているかを請求書に記載された注文番号を元に、申請書、注文書、納品書等の書類イメージで確認し、支払処理を行なう。
購買部門の責任者は、ワークフローとしてデザインされた各処理のキュー(作業単位)を確認することで、滞留案件や全体の処理の進捗状況をいつでも確認することができ、バックオフィス系業務の生産性と正確性を大幅に向上させることが可能となる。
下図は物品購入管理として実際にデザインされたワークフローの連携図で、各アイコンがひとつの処理を表しており、アイコン右上の数値は各処理で待機または処理中のキューの数を示している。一般にワークフローの連携図は、アイコンを用いて判りやすくデザインされており、業務プロセスの可視化を可能としている。
これらのアイコンはドキュメント・マネジメント・システムで行なうひとつの処理(作業)を示している。ワークフロー・システムでは、業務全体のワークフロー・デザイン、各処理(作業)の確定、各処理を連携した業務プロセスの構築、実行と見直しにより業務処理のボトルネックを解決するようなワークフロー・デザインの変更、業務の見直しをPDSC(Plan-Do-See-Check)サイクルで改善していくことが可能となる。
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